第2章 魂の向こう側 信長side
「ねぇ………て!……た、死ん……ねぇ、早く起きて!」
誰かが俺を揺さぶっている
瞼をひらくと、そこには見知らぬ人物が俺を起こしていた
周りを見ると火の手が上がっている
(狙われたか…。面倒だ。せっかくの睡眠時間を削らせるとは)
「…何者だ、貴様」
問いかける。いつもならすぐに自分の身分、名を言うのだが
目の前にいる者は違った。
???「後で言うので、早く逃げましょう。これ、口元から離さないでくださいね」
そういって小さな手ぬぐいのようなものを差し出し、手を伸ばしてくる
とりあえず受け取ってみるとするか。こいつが敵ならすぐ斬るまで。
そうして逃げようとするが、差し出してきた本人が動かない
(…足音、敵か)
「こっちだ」
細い手を握り直し抜け道を進んでいく
(この手ぬぐいのようなもの…心地良いな。それにしてもこいつの腕は細い。
今までどんな生活していたのだ。敵意はないところ、褒美目当てか何かか)
外へ出ると煙を吸ったのか咳き込んでいた
(…こいつが何者か分からん限り、どうにも動けんな)
にしても不思議な格好だ
羽織かと思いきや茶色で前の方には、ボタンが付いており生地が厚めの服に。
丈の短いボロボロに見える服。それは煤だらけになっていた
そして裸足。
???「ゲホッ…あの、ありがとうございました」
「何故貴様が礼を言う。貴様は、どうやら俺の命を救ったようだな」
褒美ならくれてやるか。俺を助けたのだからな
ふと見るとそいつは寺の方を見て呆気にとられている
名を聞いておくか
「貴様、名は?」
「…………あ、え、す、すいません。今何と…」