第5章 当たり前
「 …!? 」
ガバッと飛び起きる
( 今の、何?? 夢、だよね… 見たことないけど… )
「 外は… 」
部屋から廊下へ出るともう日は沈み、月が昇ろうとしていた
風も昼より冷たく、肌を霞む
「 さむっ……もう、夜、」
持っていた毛布に包まりながら辺りを見渡す
三成「 あ、独香さん 」
奥から三成が歩いてくる
その手には夜ご飯と思われる食事を持っていた
「 もしかして、もう皆食べちゃった? 」
三成「 はい。でも信長様との約束はまだですので
お部屋で召し上がってください。暖かいですよ 」
「 うん。ありがとう ……一緒には、だめ、かな 」
今日は色んなことがありすぎて頭が限界だった
寝てはいたが疲れはあまりとれていなかった
一緒にいたい そんな思いが心から離れない
三成「 …構いませんよ。私も、独香さんとお話したいです 」
ニコッと微笑んで落ちそうな毛布を支えてくれる三成と
共に部屋へ戻り、ご飯を食べる
三成「 夢は見ませんでしたか? 」
「 え…? 」
三成「 …あのあとで眠るのもお辛いのでは、と思いまして 」
「 だ、大丈夫だよ。怖くないって言ったら嘘になるけど、
皆がいる って分かる、から… 」
夢のことが気がかりだが、あの一件での安心感が大きかった
へへ… とはにかむ独香
三成は目を見開き、優しく微笑んで手を伸ばす
髪を掬って耳にかける
その仕草に独香の鼓動は速くなる
「 み、つなりくん…? 」
三成「 …その笑顔を無くなさないで下さい 」
「 …? 」
三成「 あなたの笑顔は、消えてはいけない
こんなに素敵で、守りたいと思うのは初めてです 」
微笑みながらも真剣な眼差しで見つめる
( こんな顔もするんだ… 私のために、)
ドクドク と自分でもうるさいと思うぐらいの鼓動
三成「 うなされる様子はありませんでしたが…
首元の跡も消えてきてますね、良かった…。」