第1章 魂の向こう側
(…もうどれだけ走ったかな。ここかどこかも良くわかんないし…。
森っていうより山? というか私何で走ってるんだろう。私は…)
そこで本来の目的を思い出した
「私…死にたいだけなのに」
そう。私は死にたいんだ。走る必要なんてない
もうここで死んでしまえば、あの人に会える。
ここからも去れる。
フッっと目が据わる。
「…向こうかな」
風を頼りに崖へと足を進める
ふくらはぎや腕は、小さな傷でボロボロになっていた
だけど、私にはもう関係ないこと。
崖へ着くと、1度深呼吸をする
そして、胸元のペンダントをもう一度握る
1歩を踏み出す
???「…っ。おい!!」
ぐっと引き寄せられる
え、と思わず声を漏らす
???「お前、ちゃんと前見てんのかよ!崖だろうが!ここから落ちたら死ぬぞ!」
赤を纏う、男の人
(また…。知らない人)
???「おーい、幸〜。危ないとやらの嬢さんは救えたかーい」
奥の方から2人ほど近づいてくる
幸と呼ばれた人は、私の腕を掴んで2人の場所まで引っ張る
(え、ちょ、私になんて構わなくて良いのに…。でも全然振り払えなさそうだし…)
大人しく引っ張られる。
そこには、忍者のような人と大人な雰囲気を纏う人がいた
幸「ほんっとう危なかったんだよ。…お前傷だらけじゃねぇか!しかも煤だらけだし。
斬られたわけでは無さそうだが…こんな暗い中で何してんだよ」
独香「傷だらけなのは特に理由は…」 と話していると、
???「…!?え、君、もしかして」 と声が聞こえた。
幸「なんだよ佐助? お前の知り合い?」
佐助とよばれる人は私を見て目を見開いている
佐助「い、いや。知り合いというか…」
???「俺にも嬢さんを見せろよ〜。…おぉ、綺麗な嬢さんなこった。俺のとこきて休んでく?」
幸「あーもう。信玄さんこんなとこで止めてください。」
独香(信玄…?信玄って武田信玄?…え、でも信玄って…)
3人会話についていけず、立ち尽くしていると