第3章 再開、そして出会い
部屋で待っていると、家康さんが入ってくる
家康「 手っ取り早く済ませるから。腕と足。そこだけ着物捲って。脱いでとまでは言わないから。」
独香「 は、はい。」
捲ると、小さな傷が至る所にあった
家康「 これぐらいならすぐ治るよ…にしても、もうちょっと考えて走ったら? 女なんだし、少しは体気遣いなよ 」
小さく息を吐きながら薬を塗ってくれる家康さんの目は穏やかで大人しかった
独香「 あの時は夢中で走っていたので…その、ごめんなさい。家康さん 」
家康「 …別に謝んなくて良いから。あと…家康で良い。敬語も要らない 」
独香「 えっ! で、でも家康さ…」
家康「 家康。謝るよりもお礼で返しなよ。政宗さんだって、あんたのこと気にかけてるから俺に頼んだんだよ 」
独香「 そうなんでs…そう、なんだ。えっと、ありがとう。い、いえやすっ 」
言いなれないのか、震えながらでも呼ぶその声に家康は目をそらす
家康「 …城に着いたら三成か政宗さんに髪切ってもらいなよ。何か、その前髪邪魔 」
独香「 そ…うかな? 結構見えますよ。」
家康「 …敬語 。あと、あんたが良くても俺たちには顔見えなくて分からないから 」
独香「 うっ…。わかり…わ、分かった 」
ぎこちない喋りに思わず笑みがこぼれそうになる家康
家康「 じゃあ、この薬ちゃんと毎晩塗って。すぐ治るからサボんないでね 」
独香「 う、うん 」
家康「 身支度整ったら外にちゃんと来ること 」
独香「 わかった 」
そう言い残し部屋を出た