第3章 ♡優しい先輩【菅原孝支】
ーコンコンコン。
スッとふすまが開く。
「山浦ー、いるかー? ...お、いた。」
入ってきたのは菅原先輩だった。
バレー部マネージャーとしてはじめての合宿に参加した私は、既に疲れきって壁に寄りかかっていた。
『あっ、菅原先輩。どうしたんですか?』
「ん、これ明日のメニュー。大地いま風呂だから俺が代わりに来たんだけど。」
そういいながらしゃがんで私に目線を合わせてくれる菅原先輩。
すっと差し出された紙を受けとると、そこにポタリと滴が垂れる。
「あっ、悪い。それ、俺の髪のだわ...。」
そういってプリントの濡れた部分を指差す。
ふとみれば、菅原先輩の髪の毛は濡れている。
『あ、えっと、全然問題ないです!』
私がこんなにぎこちなくなってしまうのも、実は菅原先輩のせいだったりする。
私が体験入部にいったときに、まっすぐ上だけ向いてボールを追いかける姿に、一目惚れしたのだ。
「そっか、よかった。」
そう言った菅原先輩を見ると、パチッと目があった。
...菅原先輩って、こんなに綺麗な目してたんだ。
近くで見れば見るほど、その瞳に吸い込まれていくような...。
__...ちゅっ。
『...ふぇっ?』
驚いた私は、手で唇を押さえる。
...キス、された?