第1章 ♡ 好きって言ってよ【赤葦京治】
『ただいま~。』
私が疲れきって家のドアを開けると、やけにニコニコしたお母さんが私を立って出迎えた。
「お帰り、京治くん、来てるよ~。」
『そっか...。』
京治は、私の幼馴染みで、小中高とずっと一緒だ。高校にいってからは、クラスが離れてしまったのだけど。
そして先日、告白された。
委員会が遅くなって、送ってくれると一緒に帰った帰り道の公園で。
私は、『ありがとう』しかいえなかったけど、京治はちゃんと返事を待ってくれているみたいだった。
私がお菓子とジュースを持っていくと、京治は私の部屋で漫画を読んでいた。
「ん...。遅かったね。」
『ごめんね、友達と、立ち話してた。来るなら言ってくれればよかったのに。』
「拒否されるかと思って。」
確かに、私は事前に言われたら拒否してしまうかもしれない。
告白を受けてから、なんて気まず過ぎる。
『...そ、っか。それで、どうしたの?』
私は京治の前にジュースを置くと、京治の隣に座った。
「返事聞きに来た。まだ決まってないなら決まってないで良いんだけど...。」
『あ、やっぱりその事か...。っていうか私、決まってないっていうか、付き合うとかよくわからなくて。』
顔が見られなくて、空のお盆を見つめた。