第2章 プレゼント【夜久衛輔】[生誕記念]
「リンカー、友達呼んでんぞー。」
そういってドア付近から私を呼ぶ黒尾。
『はいはーい』
そう返して廊下へ向かう。
「リンカー!今日3ー5数学あったっけ?」
「なければ教科書を!!」
拝んでくる他クラスの友達二人。
『...まさか、二人とも忘れたの?』
「「そうだよ!!!」」
さすがに、教科書なんて一冊しか持ってないし...あっ!
『ちょっと待ってて。』
廊下に友達を残し、教室へ戻る。
向かったのは、衛輔のところ。
『もーりすけ!数学の教科書持ってる?』
後ろから話しかけると、驚いてビクッと体を震わせたあと、「なんだリンカか。」と言って教科書を差し出した衛輔。
『ありがと~。』
私はそういって教科書を受け取り、廊下へ向かう。
衛輔は私の彼氏。
高校2年の夏、告白されて付き合い始めた。
黒尾には、背丈がどうとかって言われたけど、気にしない。私の方がちっちゃいしね!
私は衛輔の、部活頑張ってるところとか、お母さんみたいなところが好きだから。
...あと、ちょっとかわいいところも。
『お待たせ!』
そういって教科書2冊を渡したあと、友達を見送って自分も教室に入る。
「お疲れリンカチャーン」
『キモいな!』
話しかけてきたのはまた、黒尾。