第3章 (日)日常衝動破壊予感(ストーカー)
この気持ちを何と呼べば良いのでしょうか。
「あ、菊さん。おはようございます」
「おはようございます、璃々さん。今日もいい天気ですね」
毎朝貴女に出会うのはいつも7時半頃。彼女が家を出る時間は決まっていて、従って私の家の前を通る時間も決まっている。
私はその時間になると、毎朝玄関の掃除に出るのです。
「毎朝お掃除お疲れ様です」
嗚呼、なんて心地よく耳を浸す声なのでしょう。声だけで私をこんなに満たされた気分にさせるのは、貴女だけなのですよ。
名前を呼ばれると胸の奥がざわつくのも貴女だけなのです。
わかってますか?
その笑顔。
私だけに向けられていますね。良かったです。
「爺が朝やる事といったら決まってますよ。朝の掃除に散歩です。…ほら、行かなくて良いのですか?遅れてしまいますよ」
「ふふ。じゃあ行ってきます!」
「行ってらっしゃい。お気をつけて」
少し早歩きな璃々さん。
今日はここに来るのが43秒遅かったですね。寝坊でもしたのでしょうか?
体調が悪いのかと心配してしまいましたよ。あまり心配かけさせないでくださいね。
小さくなっていく背中をじっと見つめる。今日も一日無事に過ごせますようにと願います。