第17章 (日)夏幻
暑い暑い夏の陽射しの中、私は顔をしかめながら歩いていた。
暑すぎる。コンクリートの照り返しと陽射しが上下からじりじりと私を攻めて、もう逃げたい。
コンビニが近くにあれば良かったのだが、大通りからはずれているここに一体には無いのだ。
逃げ道は無かった。
家までまだ距離もある。立ち止まればその分長く陽射しに晒されるのだから早く帰ろう、でも歩く気が起きない、そんな事を考えていると。
「…………?」
どこからか涼しげな水音がして、私は首を傾げた。
音のする方を感覚で見遣る。住宅が並ぶ奥の方から聞こえる、気がする。
そういえばこっちの辺りはあまり行った事がない。もしかしたらコンビニあるのかも、と思い、私は方向転換した。