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【APH】本田菊夢 短~中編集

第16章 (日+黒日)遺物、守護する刀 (刀の霊アナザー・死表現)



何回陽が沈んだだろうか。
ぼんやりとしているといつの間にか、目の前に人の足が二人分あった。

見上げれば、全く同じようで違う顔が二つ。一人は白い軍服を着て、一人は黒い軍服を着て。
横で切り揃えられた黒い髪、端正な顔。
白い方の人がつらそうな顔をして、私に合わせるように視線を下げた。

「驚かせてしまって申し訳ありません。…もう、見ていられなかったもので」

私には彼の言葉が脳で理解出来ずに、ただ何処から入ってきたのか不思議で仕方なかった。
軍服を着ている、という事は。
どういう事なのだろうか。

黒い方の人が言う。

「全く仕方の無い…貴女、いつまでそうしているつもりだったのです」

「桐、言い過ぎです」

「しかしこのまま動かずにいれば餓死だ。動かなければ気持ちも動かぬ、何も変わりませんよ」

「それでも、彼女は父を亡くしたのですから…」

白い人がたしなめ、桐と呼ばれた黒い人は憮然として視線を逸らした。
本当に、双子のように顔立ちがそっくりだ。ただ、白い人は物腰が柔らかく、黒い人は鋭くて冷たい気がする。

私が瞬いていると、白い人が苦笑した。


「すみません…申し遅れました、私は菊と申します。あちらは桐。貴方が今お持ちになっている刀に憑く者です」

「へ…」

「信じられないでしょう。私が鞘で桐が刀、亡くなられた貴女のお父上から貴女をお護りするようにと仰せつかりました」

これからずっと、貴女をお護り致します、と。
言った彼の瞳は父と同じ温かい瞳をしていて、私の目からは涸れていた涙が溢れた。



2014/
(菊といったら桐だよね!の思考回路)
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