第2章 (日)2次元の住人に釣られる先(オタク菊)
「いらっしゃいませ。お待ちしておりましたよ、璃々さん。遠路遥々足を運んで頂いてお疲れの所大変申し訳ないのですが、早速この服を着て頂けませんか」
「断る」
「なんですって!」
貴方の満面の笑みのどこに申し訳無さがあるんですか。
手土産を持って玄関で即答した私に、菊はショックを受けたように後退りした。わざとらしいわざとらしい。
来た早々これか、と私がむっつりしていると、菊は首を傾げた後何を思ってかはっとした。
「あぁ!すみません私とした事が!上着も脱がせずに立たせるとは大変失礼致しました。ささ、どうぞお上がりください。今日は来て頂いてありがとうございます」
「…うん、いや、いいけど、菊何そのテンション」
「私、どこかおかしいでしょうか?」
「その手に持ってるのが一番おかしい」
わざわざ指をさしてやると、菊はきょとんとメイド服を見た後、納得したように頷いた。
「あぁ、これですか?素敵でしょう?急遽璃々さん用にオーダーして作って頂いたんです。胸元が開いているものと迷ったのですが、立ち衿にする事によってストイック的で真面目な堅い雰囲気になるように仕上げたんですよ。ほら、袖も長袖にしたんです。もちろんボタンを全て閉めているのも好きなのですが、ボタンを外した時こそ萌発動です!首元から覗く白い肌と華奢な鎖骨、細い手首、普段は見せない肌が晒される事こそ萌え上がる要因であり見る価値があるというもの!」
語られた。