第2章 (日)2次元の住人に釣られる先(オタク菊)
ある日突然、菊から電話が入った。
「璃々さん!私すごい事を思いついたんです、週末もしお暇がありましたら是非とも私の家に来て頂けませんか!」
その声が電話越しでもわかるくらいに興奮していた。
彼のテンションがここまで上がるのは珍しい。珍しいというか、ほとんどアレ関係でしか上がらないと言った方が正しい。
何だか微妙に嫌な予感がした。
「…どうしたの、菊。そんなにテンション上がっちゃってさ」
「これがテンション上がらずにいられますか!大発見ですよこれは!で、来るんですか来ないんですか。来ますか。来ますよね?来るんですねわかりましたお待ち申し上げております」
「ちょ!勝手に決めんな!」
「昼食夕食付きでいかがですか」
「是非行かせてください」
菊のご飯は最終兵器である。実に美味なのである。
即答した私の返事を聴いた菊は満足そうな声で「そうですか」と言った。電話の向こう側で、にっこりしているのが目に浮かぶ。
「良いお返事をありがとうございます。週末を心待ちにしています」
「うん!ご飯、菊の肉じゃがが食べたい!」
「わかりました。用意しておきます」
それが今週頭のやり取り。そして今日は約束の日。
もともと予定は入ってなかったし、菊のご飯食べられる分とてもラッキーな日だ。
ラッキーな日のはずだ。
はずだったのに。
菊の家に着いてインターホンを鳴らし、引き戸の扉を開けた瞬間目に入ったのは、とてもいい笑顔でメイド服を手に持った日本だった。