第12章 巨人化とは・・・
―――そして信煙弾の合図を受け、
今回はすぐにエレンは巨人化した。
その場にいた兵士が抜刀しエレンを睨みつける中、
ナナシは手ぶらでエレンに近づき声を掛ける。
「エレン、私の声が聞こえるか?わかるなら右手を挙げろ」
「ナナシ!近づき過ぎるな!」
「ナナシさん!ハンジさんじゃないんですから、
生き急がないで下さい!」
エルヴィンとモブリットの言葉をスルーしていると、
巨人の右手が上へ上がる。
ナナシは全神経を注いで、エレンと同調し、
生体エネルギーの流れを探った。
自我を持つエレン巨人と、壁外にいる巨人では
同調具合がかなり違った。
意志を持つ前者の方が同調し辛く、
本能のまま生きる後者の方が操りやすいと感じたナナシは、
そのままエレンの体内を探るように一層神経を集中する。
エレン以外の巨人達の生体エネルギーはとても不安定で、
ナナシはそこに漬け込んで乗っ取りを行うことが出来る。
だが、今のエレンには隙があまりなく、
なかなか完全な掌握には至らない。
ナナシがエレンと自我を持たない巨人達の違いは、
張り巡らされている生体エネルギーの安定度だなという
一つの結論を出したその時、エレンに異変が起きた。