第3章 再会
「――――へぶしっ!!」
空中に投げ出されたナナシは、
上手く受け身を取ることが出来ず地面に叩き付けられた。
痛みに呻いて打ち付けた腰を擦る。
周囲の様子を探ると、
平原にあるちょっとした森に投げ出されたようで、
周囲に人の気配は感じられなかった。
これでは今何年で何処かよくわからない。
調査兵団本部へは適当に歩いて行けば良いかと思った所で、
ナナシはふと思った。
別にナナシは今調査兵団の教官をしている訳でも無いし、
エルヴィンには死んだ事にしておいてくれと頼んでおいたので
正面から行くのはまずいかもしれない。
それに冷静に考えてみると、エルヴィンと再会する事が
果たして彼の為になるのだろうか?
一夜限りとして関係を持ったが、
あれは本当に良かったのだろうか?
エルヴィンに変な期待をさせ希望を持たせた挙句、
弄んだようなものではないだろうか?
課せられた『制約』の件もあるし、
会わない方が良いのではないだろうか?
ナナシは基本ネガティブな考えの持ち主なので、
そう思ってしまう。
だから、『心臓』は誰もいない時に忍び込んで奪取し、
暫くの間エルヴィン達を影からこっそり見守ろうという結論に
達してしまった。
そういう考えに至ったので、
まずは人のいる村か街に行かねばと腰を上げた。
ここはローゼの何処かなはずだ。
そういった『制限』を受けてしまったので断言出来る。
調査兵団の知り合いに会う前に、自分の状況を把握せねば・・・