第9章 悪夢と決意
―――その夜、ナナシがなかなか寝付けず
水を飲みに食堂に向かっていると、
地下から啜り泣くような声が聞こえ、
自然とそちらへ足を向けた。
階段を降りるとそこには地下牢があって、
その一つでエレンが魘されている所だった。
何故こんな地下牢にエレンが・・・と思ったが、
すぐに巨人化出来るからかと思い直す。
どう足掻いてもエレンの巨人化能力は
人類にとって脅威そのものだ。
エレンの意志に関わらず・・・。
「・・・・・・・・・」
聞けば、エレン自身どうして自分に巨人化能力があるのか
わからないらしい。
ある日突然巨人になり、裁判に掛けられ、
古城に軟禁されるように連れて来られたそうだ。
それがどれだけ精神的苦痛を伴うものか・・・
本人にしかわからない。
だが、人間ではないナナシには理解出来る所がある。