第33章 夫婦というもの
食べる事が好きなナナシが昼時になっても厨房や食堂に
現れないというのはおかしいので、様子を見に来たら何故か
エルヴィンがいて、しかもナナシの腰に抱きついていると
きたもんだ・・・。
「いつの間に来やがった、エルヴィ・・・がっ!!」
言い終わらぬ内にエルヴィンがリヴァイに近づき、
リヴァイの顔面に思いっきり拳を打ち込んだ。
吹っ飛んだリヴァイの身体は壁に当たり、鼻と口から
ダラダラと血を流す。
「・・・いきなり何しやがる。痛ぇじゃねぇか、クソが」
「これでナナシを抱いた件はチャラにしてやる。この程度で
済んだ事をありがたく思え」
冷たく言い捨てたエルヴィンとは対象的に、ナナシは
リヴァイに駆け寄りタオルを差し出した。
「大丈夫か、リヴァイ!?すまぬ、私のせいで殴られて・・・」
「いや、そいつは別に気にしてねぇが、一つ気になった事が
ある・・・。この件に関しちゃ、報復行為が出来ねぇんじゃ
なかったのか?」
確かにそうなのだが、今エルヴィンが殴れた理由にナナシは
頭を抱えながらリヴァイに教える。
「恐らく、此奴はお主を見た瞬間何も考えず反射的に殴りおった。
そして、殴った後で、後付の言い訳として私との行為の件を
言ったとしか思えぬ」
「・・・いつも多くの事を考えている団長様が脳筋に
なった結果って訳か。本当にクソだな」