第32章 自業自得の悪夢
エルヴィンは悪夢の中を漂っていた。
ずっと見続けているその悪夢は幼いエルヴィンの前で
父親が殺され、「父親が殺されたのはおまえのせいだ」と
責められるものだった。
発狂しそうな程絶望に打ち拉がれてもエルヴィンが
自我を保てていられたのは、この後必ずナナシが現れて
自分をこの暗い闇から救い出してくれていたからだ。
―――だが、今日は待てど暮らせどナナシは現れず、
幼いエルヴィンは泣きながらナナシの名前を叫ぶ。
「お願いだ!僕を助けに来て!君に捨てられたら
僕は生きていけないっ!ナナシ・・・ナナシ・・・っ!」
いくら叫んでもナナシは応えてくれなかった・・・・。
泣きながら茫然自失になっていると、
誰かが自分を呼ぶ声が聞こえ、そこでやっとエルヴィンは
悪夢から解放された。