第30章 ●復讐
―――数日後、ナナシは宣言通り調査兵団本部へ出向いた。
エルヴィンの仕事が終わるであろう時刻を見計って
夜に出向いた気遣いの出来る自分を褒めてやりたいくらいだ。
「復讐を執行しに来た」と言いに行ったらエルヴィンは
少し驚いた表情をしたが、すぐに表情を引き締め了承したので、
彼の私室に案内させる。
「私の部屋で良いのか?」と問うエルヴィンに
「そうでなければ意味がない」と告げると、彼は困惑げな
表情をしてきたが、無視した。
これから行う復讐は、エルヴィンの自尊心を打ち砕き、
相当なダメージを与えるだろうと予想されるので、
我ながらえげつないと思うが、それ程怒っているという事を
知らしめなければならないので、止めるという選択肢はない。
「服を脱げ。上だけで良い」
エルヴィンにそう命令すると何か言いたげな表情をしたが、
彼は素直にそれに従いジャケットやシャツ、ベルトを脱いだ。
いつ見ても惚れ惚れするくらい鍛え上げられた肉体を満足げに
見つめると、ナナシは持ってきた縄でエルヴィンの両腕を
後手で縛り、彼の足膝裏に蹴りを入れて強引に跪かせる。
エルヴィンの髪を掴んで顔を上げさせると、ナナシは
「今夜は私の命令には絶対服従しろ」と厳命した。