第29章 エルドの想い
「後日、そちらに出向く。復讐はその時に」
「・・・わかった。正直、私は今日殴られる覚悟でここに来た。
それこそ関節を外され気を失う程殴られるかと・・・」
肩透かしを食らった状態のエルヴィンにナナシはニッコリ微笑むと、
その額にキスをしてその場から立ち去った。
あれだけの事をしたのに暴力も暴言も浴びせなかったナナシに
呆然とするエルヴィンを残して・・・。
いつも自分はエルヴィンに甘い自覚がある。
だが、今回は本当に怒っているので、ただ殴るだけでは
気が済まない。
エルヴィンが自分にしたように、彼に最も効果的な苦痛を
与えてやると意気込みながら、ナナシは彼への復讐を誓った。