第5章 謎の新兵
・・・いやいや、そこは素直に納得しちゃダメだろっ!?
少しは疑え、若人よっ!
そんなんではすぐ人に騙されてしまうぞっ!?
心の中でツッコみながら、ナナシはエレンを生暖かい目で見つめた。
彼はそんなナナシの心中を知らず、
「ナナシなんて名前変わってんな」などと失礼な事を
無自覚に言ってくれちゃっているのだから、
敬語云々の話はする癖に、エレンも十分非常識な奴だと思う。
だが「掃除も終わったし兵長やペトラさんもいないから
食事の支度を手伝うよ」と屈託なく笑って言ったエレンに、
ナナシはちょっとキュンとした。
―――ピュアだっ!!
エルヴィン達とは違い、汚れを知らないレア兵士が物珍しくて、
エレンの言動が少し失礼でもどうでも良くなる。
庇護欲を掻き立てられるというか、ちょっと可愛らしく思えるのだ。