第27章 ●罪悪の時間
―――もうどのくらい時間が経っただろうか・・・?
快楽に弱いはずのナナシが何時間も続く快楽に耐え、
一向に『離婚しない』という言質が取れずにいる。
今は対面座位の体位で攻めているが、息も絶え絶えの癖に
強情過ぎるなとエルヴィンは苛立った。
そんなに俺と離婚したいのか、と・・・・。
ナナシはエルヴィンの胸板に身体を凭れさせながら、
半分意識を飛ばしている状態だった。
時折エルヴィンがナナシの首筋や肩にキスや甘噛をすると、
ビクリと身体を揺らし呻く様子から感じていないという事は
無いだろうが、ナナシがここまで我慢強い事実に驚いた
というのがエルヴィンの正直な感想だった。
だが、流石にこんな拷問めいた行為はエルヴィンとしても
不本意なので、ラストスパートを掛けようと心に決める。
凭れ掛かっているナナシの身体を引き剥がすように、
後ろの髪を引っ張って彼の顔を上げさせた。
「最後のチャンスをあげよう。俺と離婚はしないな?
頷くだけでも良い。誓え」
「・・・・・・・」
焦点の合わないナナシの瞳が静かにエルヴィンを見つめるだけで、
とうとう返答は無かった。