第27章 ●罪悪の時間
「やはり事情を知っているのと知らないのでは覚悟も何もかも違う。
話してくれてありがとう。だが、疑問点がいくつかある。
聞いても良いだろうか?」
「答えられるものなら・・・」
一応『異世』に関しては守秘義務があるので話せない事がある。
「君は・・・何の罪で投獄されていたんだ?掟とはどんなものなんだ?」
核心を突く質問にナナシが何を話せば良いか言い淀んでいると、
「俺に気を使う必要はない。真実だけ話してくれ」
と言われ、恐る恐ると言った風に少しずつ話し始めた。
「私は人間に一切干渉をしてはならぬという掟を破って
此方に来た。それが罪の内の一つだ。二つ目は人間に恋し
契約して共にずっといてしまった。・・・他にも『心臓』の
回収が出来なかったり、・・・・・お主と出会って
また人間に干渉してしまったり。・・・しかも、取り戻した
『心臓』をその人間に預けて故意に期限内に持ち帰らなかった
・・・等の罪だ」
「・・・それで、その罪で受ける罰則の内容は?
君は沢山の罪を犯しているんだろう?投獄だけで済む話には
思えない」
「・・・・・・・・・」
「答えなさい、ナナシ」
「私は大丈夫だ。これでも身分が高いから酷い事はされない」
心配させないように笑って言ったナナシだったが、
エルヴィンの目が釣り上がるのがわかった。