第4章 古城にて
「すみません!ナナシさん今日ここにお泊りですよね?
今からお部屋の用意をしてきますので、ここを任せても
宜しいでしょうか?」
窓から外を見ると夕日が見え、リヴァイの帰りを待っていたら
日が沈んで夜になるだろう。
野宿というのも嫌なので、ここで一泊させてもらうのが一番だ。
「あぁ、ここは私がやっておくから部屋の準備を頼んでも良いか?
野宿は面倒だからな」
「野宿なんてさせませんよっ!では、部屋の用意してきますね」
ペトラはそう言うと厨房から立ち去ろうとしたが、
厨房の入り口で一度振り返りナナシに念を押す。
「絶っ対に逃げないで下さいね。そうじゃないと兵長や団長に
叱られてしまいます。そうなったら私ナナシさんを恨みますからね?」
ペトラの言葉に一瞬キョトンとしたが、
ナナシはすぐ苦笑すると「それは恐いな」と言って肩を竦めた。
「大丈夫、約束は果たす主義だ。リヴァイが戻るまで・・・
というか明日の朝までは逃げんよ。こうして夕食の準備も
してる事だし」
「それを聞いて少し安心しました。準備が終わったら
戻ってくるので、ここをお願いします」
笑顔で去っていくペトラにナナシも笑みを返し、
七人分の食事の支度を再開する。
そこではたと気付いた。
・・・・本当に七人で済むのだろうか?
自惚れてはいないが、自分の存在を知ったエルヴィンが
リヴァイと共に古城に来る可能性もある。
ナナシは暫しの逡巡の後、あと二、三人増えても大丈夫なように
少し多めに作ることにした。