第23章 卑猥物
「・・・・・おい、これはどういう状況だ?」
不機嫌丸出しな声が古城に響き、ペトラとオルオは緊張で
背筋を伸ばしたが、元凶である男は余裕の態度で自分より
低い位置にある顔を見下ろした。
「どういう状況かは見ればわかるだろう?寝不足な上、
諸々の事情で馬に乗れなくなったナナシを私が送ってきた。
・・・ただそれだけだ」
艶々した肌でそう言ってのけたのは調査兵団団長
エルヴィン・スミスである。
グッタリとした身体を預け、お姫様抱っこされたままの
ナナシを見遣れば、何が起きたのか容易に想像がつくと、
常より険しい表情でエルヴィンを睨みつけたのはリヴァイだった。
ジリジリと二人が睨み合っていると、
「お、エルヴィンじゃん。どうしたの~?」と空気を
読まない声が辺りに響いた。
徹夜明けと思われるボサボサの頭でやってきたハンジは、
この場の状況に首を傾げる。
「ナナシを送ってきたらリヴァイに因縁を付けられてしまってね」
「誰も因縁なんざつけてねぇよ」
「では何故先程から私の進路を妨害するんだ?」
「ナナシがそうなった経緯を聞いてからじゃねぇと
納得出来ないからな」
また睨み合い始めた二人に、ハンジが困ったように頭を
掻いているとペトラがこっそり近づいてきて、
彼女に手紙を渡した。