第4章 古城にて
森を抜けて辿り着いたのは、何とも年季の入った古城であった。
今この古城に住んでいるのはリヴァイとリヴァイ班と
新兵一人だという・・・・。
それに違和感を覚えながらもエルドが
「詳しい話は聞かないで欲しい」という空気を出していたので、
やはり聞けなかった。
エルドが厩に馬を繋いでいるのをぼんやり見つめていると、
「ナ、ナナシさんっ!?」と聞き知った声が聞こえたので、
そちらへ目を向ければ、食材の入った籠を盛大に落とした
ペトラが呆然と立っていた。
「久し振りだな、ペト・・・ラッっ!?」
挨拶をしようとしたナナシの言葉が終わる前に、
ペトラから体当たりの抱擁を受け、たたらを踏む。
ペトラの突進を縛られたままの足で受け止めた自分を褒めてやりたい。
ペトラはナナシの胸の中で号泣していた。
「ナナシさぁぁぁんっ!・・・無事で・・・っ!!
病気が重いって・・・聞いて、突然いなくなるから、
心配してましたっ!!」
「心配をかけてすまなかった。もうこの通り元気だから、
安心してくれ」
「はい・・・っ!」
グスグスと泣く彼女の涙を拭ってやりたいが、
生憎ナナシは縛られているのでそれも出来ない。
・・・というか、縛られているナナシの状況を何故誰も突っ込まないのか。
ナナシは厩から出て来たエルドにワイヤーを切ってくれと頼んだが、
「兵長からの命令ですから」と一蹴された。