第21章 男のロマン
「いいか、ナナシ。男はロマンを求めている。愛するものが
可愛らしい下着を身につけていれば、情熱が余計に爆発する
ものなんだ」
「ほー。・・・で?何故お主がここにいる?着いて来るなと
言ったであろう?」
「私もたまたま下着屋に用事があっただけで他意はない。
たまたま立ち寄った下着屋に、たまたま疑問を感じている
ナナシがいて、たまたま答えを教えたくなっただけだ」
「・・・・もう用事は済んだであろう?さっさと帰れ」
「いや、まだ私の講義は終わっていない。例えばだ、
この下着を愛する者が身に着けていたと仮定しよう」
スッとエルヴィンが手に取ったのは布地部分が殆ど無い
紐パンだった。
「これを愛する者が身に着けていると想像するだけで
とても興奮するが、これを自分が脱がす事を考えると
もっと興奮する。どのような状況下で、どのように脱がすか・・・。
もしくは相手が自分から脱いでくれるかもしれないという
期待さえ持ってしまう。下着とはありとあらゆる希望を
凝縮した存在だと私は思っているのだが、君はどう思う?」
聞きたくもないエルヴィンの口上にナナシはゲンナリした
表情で彼を睨んだ。
傍らにいたナナバとミケは頭を抱え、
ペトラは初めて見る団長の奇行に唖然としている。