第20章 それぞれの愛
「三日間でデータを纏めて訓練メニューも考えねばならぬのだ。
寝る間も惜しいのにお主に抱き潰されては敵わん!」
「そう・・・たった三日しか君はここにいない。大丈夫だ。
抱き潰さないようにするから・・・」
「そんな言葉信用出来るか!リヴァイなら兎も角、
お主の理性は脆過ぎる」
「・・・他の男の名を出して俺を煽っているのか?
それは充分効果を発揮したよ、ナナシ」
「煽ってない!お主が我慢出来ても・・・・その・・・・
私が・・・無理だ。手を出されたら、自制が利かぬ自信がある」
「――――ナナシっ!!」
エルヴィンにとって、それは何とも嬉しいナナシからの
愛の告白である。
俄然ヤル気が出たエルヴィンは仮眠室へ急いだ。
本当にナナシが嫌ならここら辺で拳骨などお見舞いされそうだが、
満更でもないのか口では嫌と言っているもののそれ以上の
抵抗は見られない。
ナナシとしても短期間しか一緒にいられない事もあり、
以前より寛容になれる所はなろうと思っていた。
――――だが、
意気揚々と仮眠室の扉を開いたエルヴィンに対し、
仮眠室の有り様を目の当たりにした瞬間ナナシは
「――ひっ!」と顔面蒼白になり言葉を失う。
仮眠室の天井と壁一面には、ナナシの肖像画が所狭しと
飾られ、そこはさながら呪いの部屋になっていたのだった・・・・。
エルヴィンの狂気にカタカタと震えるナナシに、
老若男女が落とせそうな微笑を浮かべながら
「ベッドに行こうか」と告げたエルヴィンだったが、
ベッドの上にあったナナシの下着の残骸を発見され
逃亡される羽目になった。