第17章 104期生
訓練をしていた兵士達のデータ収集が粗方終わり、
ナナシが廊下を歩いていると前方から賑やかな声が
聞こえてきたので顔を上げた。
見ると、そこには水筒を持った新兵達がいて、
これから立体機動訓練に行くのだろうとわかる。
「次の時間は立体機動の模擬戦か。訓練兵団とは違って
かなりキツイな」
「おいおい次席で卒業した割にはかなり弱気じゃねぇか、
ライナー。情けねぇの」
「ジャン、俺は客観的にものを言っているだけだ」
金髪でガタイの良い少年と、少し面長で馬っぽい・・・
目つきの鋭い少年が何やら言い争いを始めたようだが、
主に後者の少年が絡んでいるだけのようにも見える。
「やめなよ、二人共。でも、俺も訓練がキツイのは
本当の事だと思う」
「そーそー。きっついよなぁ、訓練。この前ジャンも
キツイって言ってたじゃんか」
「うるせぇぞ、コニー」
続いてかなり高身長の少年と小柄で坊主頭の少年が
会話に加わると、ジャンと呼ばれた少年がコニーに食って掛かった。
とは言え、喧嘩ではなくじゃれ合ってるだけのように見え、
微笑ましいなと思っていると不意に二人が持っていた水筒が
手からすっぽ抜けナナシに向かって飛んできた。
しかも運悪く、蓋がきちんと閉められていなかったらしく、
ナナシは水筒の中身を浴びる羽目になったのだった。