第16章 どうしようもない男
―――二日後、ナナシはエレンのデータと、
ついでにリヴァイ達のデータを持って
久し振りに調査兵団本部へ向かった。
・・・・ただし
「ナナシさん、後でお買い物行きましょうよ!」
「おまえは馬鹿か、ペトラ。ナナシさんは遊びに
戻った訳じゃないんだぞ」
「五月蝿いわね!・・・いい加減似ていない兵長の真似
止めてよね!オルオ!」
ペトラとオルオという監視付きで。
始めは一人で調査兵団本部へ行こうとしたのだが、
リヴァイが「途中でトンズラされたら困るから
ペトラとオルオを同伴させる」と言ってきて、
ナナシを憤慨させたのだ。
ナナシにその気はなく「もう逃げるつもりはない」と言っても、
もしもの事はあったらエルヴィンからどんな事をされるか
わからないという理由を言われてしまえば、
ナナシは口を噤むしか無い。
ナナシが無事調査兵団本部に辿り着けなければ、
古城にいるメンバー全員に全責任が覆い被さる。
そして、エルヴィンがどういう処分を下すかなど、
考えただけで恐ろしい。
なので、大人しくペトラとオルオを同伴させた。