The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
レイが行ってしまってから数十分……。
今までずっと沈黙を貫いていた私達だったが、レイが戻ってきてくれたことによって沈黙は打ち破られた。
『……レイ‼良かった……っ‼』
「何かあったのか?」
私とザックが口々にそう言った。
その時の私は、レイの無事に安堵して胸をなでおろしたのだった。
「……うん。ただいま。
あったのは墓石のデザイン画……それから、ここのフロアの殺人鬼のものと思われる、日記みたいなもの……。」
レイはそれだけ言ってから、俯いてしまった。
「……あ?それだけか?
もっとよく探せよ‼何かあんだろっ‼」
その様子に苛立ったのか、ザックが叫んだ。
「その奥にもドアがあったのだけれど、開かなくて……
もう奥には進めなかったの。
……だから、こっちでも何か手がかりが無いか調べて見てほしい。」
「……"何か"って何だよ。」
レイが落ち着きはらった声音で言うのとは対照的に、ザックは苛立った声音でそんな言葉をレイにぶつけた。
そんなヒヤヒヤするような2人の様子に、私は口を挟んだ。
『そのドアを開ける装置を見つけて欲しい……。
ってことで良いんだよね?レイ。』
「……うん。そう。
悠、ザック……、お願いできる?」
『うん。任せて‼』
「……おい、何勝手に決めてんだよ。」
私が1つ頷いて、しっかりとした声で答えると、
今度はザックが不服そうな声を上げた。
『……ザックはここから出たいんでしょう?
だったら、少しは協力してよね。』
「……チッ。
わぁーったよ。やりゃあいいんだろ、やりゃあ。」
呆れたように言うと、ザックは1つ舌打ちをしてそう言った。