The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第7章 Floor B4 ー地下4階ー
『……。』
歩いて少しした時。
……次の部屋には、土の地面があった……。
『……ここは、墓地……なの?』
「道理で土くせぇと思ったぜ。」
「……。」
私や殺人鬼が辺りを見回すのとは打って変わって、レイは掘られた穴をしゃがみ込んで見つめていた……。
『……レイ?
どうしたの……?』
「……あ?
なんだよ、入りてぇのか……?」
おそらく、墓穴として掘られたであろうその穴に"入りたいのか?"等と失礼極まりない質問をレイに投げかける殺人鬼を、私はじとっと睨んだ。
「…………なんだよ。」
『……別に。』
私の視線に気づいたらしい殺人鬼が、小声で訊ねてきたので、私も同様に小声で返した。
すると、レイがさっきの殺人鬼の質問に答えた。
「……別に。
でも、ダメみたい。
この穴……もう"入ってる"から……。」
"入ってる"……?
……え。それって……。
レイが言っていることの意図が理解出来ず、私もその穴を覗き込んだ。
『っ……!?』
その穴の中には、蹲るように丸まって収まっている、誰かの亡骸があった……。
その亡骸は既に腐敗しかけていて、微かな死臭と腐敗臭がつん……と鼻をつく。
私は小さく悲鳴じみた声をあげて顔をそらしたが、レイは尚もその穴の中の誰かの亡骸をまじまじと見つめている……。