The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第21章 Faith -信仰-
……あれから、どのくらいの時間がたったのか……。
そう長い時間は、経っていないはずだ。
…レイが再びリビングに戻ってきた。
『……レイ。』
「悠…………。」
お互いに名前を呼びあった所で、
ザックがそこへやって来た。
「……逃げてばっかじゃねぇか、お前…。」
「……。」
「…なんか言えよ。」
レイとザックは互いに見つめ合う。
…レイは一向に口を開こうとはしない。
……と、その時、
再び誰かの声がした。
「…もう、
君に話すことなんてないってことだよ。」
-ジャキッ-
「っ!?」
『ザック……!!』
ザックのすぐ後ろに、ダニー先生が立っていた。
小さく、拳銃を構えた金属音が聞こえた。
「……君にしては、随分と隙だらけだねぇ?」
「……!
てめぇ…!」
「暴れるなよ。
悠も、すぐに死んじゃうよ?」
『………。』
ダニー先生は、愉快そうに笑っている。
ザックが悔しそうに歯を食いしばり、
レイは何かを思案しているようで、終始無言だった。
「レイチェル…。
少し時間がかかりすぎだ。
君らしくもない……。
…まぁ、化け物だものね。
なかなか大変かな……。」
ダニー先生は嘲笑って言う。
……ザックは"化け物"なんかじゃない。
少なくとも、私にとっては、ザックは……____