The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第19章 Ray -レイ-
それからしばらくして、
あの時の子犬をまた見に行ったの。
そしたら、子犬はもう弱ってしまっていて……
今にも、もう死んでしまいそうだった……。
私がその子犬に触れようとしたら____
-がぅぅっ!!-
……子犬は、私を噛んだ。
____そこから、家に帰るまでの間は、
あんまり覚えてない。
気がついたら、
私は自分の部屋でその子犬を、
"直して"あげていたの。
でも、それはすぐにバレた。
……あぁ。
あの日のお父さんとお母さんは、
とっても、騒がしかったな……。
-チッチッチッ-
「…いい子、いい子だね……。」
下の階で、2人の言い争う声が聞こえる。
この部屋では、ただ時計の秒針の音だけが響く。
-ガッシャーン!!-
子犬を撫でながら言う私の声に重なるようにして、
大きな物音と叫び声が聞こえてくる。
何かが割れたり、壊れる音…
お父さんの怒鳴り声…
お母さんの金切り声…
2人が暴れて、
お父さんがお母さんに暴力を振るう音……____
「…とっても可愛いわ。
ずっと、傍にいて良いんだよ。」
-ドンッ!!-
「…大丈夫。
怖くないよ…。」
-ガッシャアアン!!-
下からの物音は絶え間なく続いている。
それに重なるようにして、お父さんの怒鳴り声が聞こえた。