The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第19章 Ray -レイ-
長めの砂嵐の後、
真っ白な画面には
椅子に腰掛けた、2人の人物が映る。
…それは紛れもなく、
レイと、精神科医のダニー先生だった。
『…"先生"っていうのは、
嘘じゃなかったんだ……。』
画面を食い入るように見つめながら、
私はぽつりと呟く。
画面の中の2人は、
結構な長い時間、沈黙を保っていた。
その沈黙を破り、口火を切ったのは、
ダニー先生の方だった。
「…レイチェル,
今日は少しだけ、深く話してみても良いかな?」
「…………。」
「…大丈夫、怖れることはないよ。」
「…………。」
沈黙のままのレイに
ダニー先生は構わずそっと話し続ける。
「……じゃあ、そうだな……。
……君にばかり聞くのは悪いから、
僕の話でもしようか?」
そんなダニー先生の言葉に
気を惹かれたのか、
レイは今まで沈黙を貫き
瞼を閉じたままでいたが、
ゆっくりと、瞼を押し上げた。
沈黙の暗い、青い瞳だ。
「……あ!
こっちを見てくれたね!
やっぱり君は、すごく綺麗な目だ!」
「…………。」
レイは無表情のまま、少しだけ俯いて視線を外す。