The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第19章 Ray -レイ-
「…つか、なんもねぇな。」
『……うん。』
部屋の中央で、ザックが面倒そうに言う。
私も殺風景な部屋を見回しては同調した。
それから、ふと…
じっと窓を見つめてこう続けた。
「……ここの窓にも月が映ってやがる。
どーみても、本物じゃねぇな。」
ザックの言う通り、
真っ青で大きな満月は、
どう見ても"本物"には見えない代物だ。
…そもそもここはB1。
月が見えるわけが無い。
私は振り返ってから、
部屋の中にテレビを見つけてしゃがみこむ。
「…悠、なんかあったのか?」
『…あ、うん。
…これ、電源つくかな……?』
「…あー。
つくんじゃねぇのか?」
言うとザックはテレビの電源を入れてみせた。
-ザー-
-ザザ…-
-ザザザッ…-