The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第18章 Cooperation -協力-
…………何故だろう。
……どうして、こんなにも心臓が五月蝿く脈打っているのだろう。
……どうして、身体の内側が熱を帯びていくのだろう。
……どうして、予測の出来ない波のように、こうもいとも容易く…私の心を攫っていくのだろう……。
『……も、もう。
行くよ……!』
「お、おう。」
私が恥ずかしくなって、
その恥ずかしさを誤魔化すように急いで室内へと足を踏み入れた。
ザックもそれに続いて室内へ入ってきては、
辺りをぐるりと見回した。
「……ただの部屋じゃねぇか。」
『…そう、だね…。』
私も辺りを見回してそう呟いた。
部屋の中には、棚や日用品…
椅子やドレッサー…
寝具に観葉植物……。
ごく普通の部屋に見えた。
……ダブルベッドに枕が2つ…。
やっぱり、夫婦だったのかな……。
「……なんだ、眠いのか?
……一緒に寝るか?」
ベッドを眺めていると、
ザックが笑いながらふざけた口調で言う。
『は……!?
ば、馬鹿じゃないの……!?』
からかわれて、
私の頬がカーッと熱を持つ。
「…おー。
俺は馬鹿だ。」
ザックは愉快そうに笑いながらそう言い、
戸惑う私を見下ろす。
『っ……。
もう!何か手がかり探さないと!!』
……正直、
穴があったら入りたい。
……というより、
ザックから全力で逃げたい……。
「わぁーってるよ。」
ケラケラと笑いながらザックが答えて、
辺りを歩き回る。
私も室内の詮索を始めた。