The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第18章 Cooperation -協力-
たまらずに私がそう言うと、
神父がふっと笑って、私とザックにこう言った。
「……まぁ、そうだな。
ザック……お前は、あまりにも無垢で
無知なる者だった。
人を殺すことしか知らぬ、
…………純粋な者。
だからこそ、私は君を天使でいさせようと、
思っていたのだよ。
……しかし、ザック。
お前は今、ここにルールに反して生贄となり、
ここから出ようとしている。」
「……んだよ、やっぱ殺す気かよ。」
「……だから、話を聞かぬか!」
神父の言い方に、ザックが殺気立つ。
そんなザックを、まるで子を叱る親のように、
神父が声を荒らげたのだった。
「…………そうではなくてだな。
外に出たいだけのはずのお前が、
今や、"如月悠や、レイチェル=ガードナーと、共に"出ようとしているように見えてな。
それが何故かを知りたくなったのだ。
__つまり、観察対象が"如月悠と、レイチェル=ガードナー 2人"ではなく、
そこにザックが加わり"お前達3人"に変わったのだよ。」
「……どっちにしろ、わけわかんねぇよ……。」
長々しく続いた神父の言葉に、
ザックは小さく吐き捨てた。
それを見た神父は小さく笑って
更にこうも続けた。
「あぁ、今はそれで構わんさ。
私もお前が口で説明出来るとは思ってはおらん。
それに、私の観察も終わっていないのだから、
答えはまだ出んだろう。
……まぁ、そのうち"如月悠"がお前を導き、
"答え"を出してくれるのだろうが……。」
神父は、私にチラリと視線を寄越して笑みを深める。
……私が…導いて、答えを出す…?
一体、どういうこと……?