The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第17章 Confirmation ー確認ー
ーヴヴ……ー
近寄ってきつつ、
わざと大きな声で言ったようにも聞こえる
ザックの声……。
その声に反応した犬達は、
身体の向きを180°回転させて
視線をザックに移して、
再び標的をザックに変えた。
…もしかして、わざと……??
怪我してるのに、どうしてそんなことを……。
そんな疑問は、
犬達の大きな鳴き声に掻き消されてしまった。
ーガウガウッ!!ー
ーワンワンッ!!ー
ーバウッバウッ!!!!ー
犬達の鳴き声が
3重に重なってこだまする。
……五月蝿い…。
「……わぁってるよ。」
『…え。』
私自身の声を漏らしてしまったのだろうか。
すごく良いタイミングで
ザックが言った。
その声は、
疲れているようにも、
はたまた楽しんでいるようにも聞こえるのだった。
……次の瞬間____
ーザシュッ!!ー
ーザシュ、ザシュッ!!ー
何かを斬り裂くような音が3回聞こえて、
辺りには鉄臭い臭気漂う。
……終わったのか。
何だか拍子抜けして、
緊張で、自然と強ばっていた身体が緩む。
「……ったく。
時間取らせやがって……。
噛まれたところは痛ぇし……。
だいたい、犬ってなんだよ。
このフロアの奴、マジで頭どーかしてんな。」
『…ザック、
大丈夫……?』
ブツブツと愚痴を零すザックに、
私は駆け寄って言う。
「…あ?
今の俺が"大丈夫"に見えんなら、
お前の目玉は節穴だな。」
『…………馬鹿。』
普通にしんどいって言えば良いのに……。
「ああ。俺は馬鹿だ……
…って、何変な顔してんだよ。
そんな顔させたくて、お前を守ったんじゃねぇよ。」
ザックは私の顔を見下ろして言う。