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The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第17章 Confirmation ー確認ー


「…クソ。
気持ちワリィ。

手を洗いてぇ……。」

『……って言っても、
水が出る場所なんか……。』



ザックの心底不快そうなその声に、
私は近くの蛇口をひねってみる。

しかし、
案の定水は出なかった。


「おい、悠。
…これ、どう思う?」

『…ん?』


ザックが指差しているのは、
浴槽……
というより、浴槽の中だろう。

浴槽には、
淀んで濁った水が張られており、
お世辞でも"清潔"とは言い難い。


『う、うーん……?』


どう答えようか……
と、考えあぐねていると、
ザックが思いきったように言う。


「まぁ、
トイレの水よりマシだな……。」


そう言うやいなや、
ザックは浴槽の中の濁った水の中に
手を突っ込んだ。


ーザプザプ…ー


その濁った水で手を洗うザック。

…その浴槽の中に、
何かの影を見た気がした……。


「…あ……?」


ザックも何かに気づいたようで、
手を洗いながらも、怪訝そうにその水面を眺めている。

…と、その時……。


「っ…!?
痛ってぇ!!!!

なんか噛みやがったぞ!?」


そう叫んだザックが
水の中から勢いよく手を引き抜いた。


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