The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第2章 The dawn ー始まりー
部屋の中と同様に、殺風景で冷たさの残る廊下……。
やはり、そんな白くてよそよそしい廊下にも、見覚えはなかった……。
『……全く。
一体、ここは何処なんだ……?』
そんな私の小さな呟きは、静寂に呑まれるように…その中に掻き消えた……。
『……。』
ぐるりと辺りを見回してみても、誰もいない…。
どうしようか…。
そう考えあぐねていると、私の背後から……
ー…ガチャ……ー
と、静かにドアの開く音が聞こえた。
振り返ってみると、そこには綺麗な金髪の可愛らしい少女がいた。
その少女は、キョトンとした表情で私をじっと見つめていた…。
『……あー…。
もしかして、君も知らないうちにここに来ちゃった…とか……?』
「……そう。
私は、気づいたらここにいたのだけれど…。
貴女も、そうなのね……?」
『……そうだよ。』
なるべく不審がられないように、ふわりと笑みを浮かべて言うと、その少女は見た目通りの可愛らしい声で、
しかし素っ気なくも聞こえるかもしれない声で言ったのだった。
幼いその少女はそう言って不安そうに眉根を寄せた。
……だが、その瞳は少し空虚に見えて、目だけ死んでいるみたいだった……。