The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第17章 Confirmation ー確認ー
『……わかった。
少し、距離を置くね……。』
「……待てよ。」
悲しくなってしまい、
私がそう小さく呟いて離れようとすると、
ザックに腕を掴まれてそれを阻まれた。
『……え。』
次の瞬間……____
私は、ザックに抱きしめられ……、
ザックの腕の中に閉じ込められた。
……近寄るなって、
言ったくせに……。
そう思いながらも、
私は宥めるようにザックの背中を撫でた。
「……こうしたら、落ち着くんだよ。
お前の体温とか…、匂いっつーか……。
すげぇ、落ち着くんだ……。」
『……そう。
少しでも落ち着くのなら、良かった……。
……ねぇ、どうしちゃったの、ザック……。』
「……わかんねぇ…。
……わかんねぇ、けど……。
お前としつじが話してるの見たら、
しつじが、お前に触れてるの見てたら……。
イライラして、しつじを殺したくなっちまった……。」
少し落ち着いたのか、
ザックの声は、幾分か……穏やかになっていた。
「……もう少しだけ、
このままでいて、良いか……?」
『……うん。
良いよ……。』
互いの呼吸音以外には、
何も聞こえない静寂の中で……、
私達はお互いの存在を確かめ合うように、
しばらくの間、抱きしめあっていた……。