The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第17章 Confirmation ー確認ー
ーチュッ……ー
唐突に指先に降ってきた、
優しく、触れるだけのくちづけ……。
「……貴女は、
最後を迎えるその時まで……、
私の主人です。」
セバスチャンは、地に膝をついてからそう言い、
私の手をすくい取って、
私の手の、その少し冷えた指先に口づけた。
……確か……__
"指先"へのキスは……。
その、意味は……。
____崇拝……
だった、気がする……。
『……うん。そうだったね。
いつだって、君が約束を破ったことは無かった。
セバスチャンは私の執事だもの。』
私が微笑んでそう言うと、
セバスチャンは満足げに微笑んで、
親が愛する子供にするような、
仕上げをするかのような……。
そんな優しいくちづけを、
私の額に1度だけ降らせた。
「……では、失礼致します。
お2人共、お気をつけて……。」
『……うん。
セバスチャンも、ね……。』
私達が会話をしている間、
ザックは珍しく黙っていた……。
そして、私達の会話がひと通り終わったのを
確認してから、歩き出した。
『……あ。
待って、ザック……。』
無言で歩いていくザックの背中を追いかけながら、
私は言った。
ふと振り返ると、
もうそこには、セバスチャンの姿は無かった……____