The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第17章 Confirmation ー確認ー
私が足を踏み出したその時……。
ーカチッ…ー
『……え?』
何かのスイッチを押してしまったようで……
軽い……小さな音がした。
……しかし、
それ以来、特に変わった様子は見られない。
私は不審に思ったものの、
そのまま足を踏み出した。
……その直後…。
「っ‼
危ねぇっ‼悠……っ‼」
私がザックのそんな声に反応するより前に、
私はザックに抱き寄せられていた。
その直後……、
私達の目の前を
ーヒュンッ__ー
と、素早く1本の矢が通り過ぎていった。
向かい側にはセバスチャンが立っており、
彼もまた、その矢を避けた様子だった……。
「くっそ。
危ねぇな……‼
なんだ今のは!?」
『……矢?
もしかして、
このフロアって……"そういう"フロア……?』
私はそっと、
ドアに突き刺さっている矢を見上げた。
……ザックが、
私を抱き寄せてくれなかったら……。
今頃、私は……____
そう思うと、身体の血の気が引いていく……。
「……おそらく、そうでしょうね。
このフロアには、いくつもの"からくり"が
仕掛けられています。」
セバスチャンが、私の問いに答えると、
ザックが不機嫌そうにセバスチャンに訊ねる。
「……なんでわかんだよ。」
「……さぁ、何故でしょうね……?」
ザックの問いを、サラリ…と受け流したセバスチャンは
口元に薄い笑みを浮かべた。