The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第16章 Floor B1 ー地下1階ー
「………………。
__彼女のことを、全部、知ってごらん。
このフロアは彼女そのもの……。
そこから考えるといいよ。
……彼女に本当にふさわしいことはなんなのか。
その選択肢によっては、君達をここから出してあげるさ。
____もちろん、"君達3人だけ"……ね…。」
長々と語ったダニー先生は、
そこで息をついた。
苛立ったザックが声を荒らげる。
「んだよ‼
全然説明になってねぇだろうがっ‼
おい‼
起きろ、レイっ‼」
「彼女は、
宝石を隠して寝ているよ……。
……君達が知るまで、
彼女はこのままさ。」
「……おい‼
……ふざけんなっ‼」
ーガンガンガンッ‼ー
ドアの方にへと駆け寄るザックは、
再びドアを強く蹴りつける。
そんなザックに続いて、
私も声を張り上げる。
『起きて……っ‼
目を覚まして、レイ……っ‼』
だが、
ドアは相変わらずびくともしない。
そして、レイからの返答もない。
「……くっそ……。」
びくともしないそのドアに、
ザックは苦々しそうに、そう吐き捨てた。
……もう何も、
返答のないドアの向こう側に、
私は深く溜息を吐いた……。