The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第16章 Floor B1 ー地下1階ー
……それは、
あのB4のフロアで、レイが見つけてきた
あの"履歴書"だった……。
「レイの鞄から落ちたのか?
…あー……。
読めねぇよ……‼」
ザックがグシャグシャに丸めて捨ててしまう前に、
私がザックの手から、その数枚の紙を救出した。
『……ご丁寧に、顔写真がついてるね。
本当に、この写真……いつ撮られたんだろう……。』
「顔写真がついてるから、
これがレイので、こっちがお前の……。
で、これが俺のだろ?
……それはわかんだよ。」
呟く私に、ザックが不機嫌そうな声を向けた。
『…個人情報だし、あんまり読みたくないから……
私は読まないけどね。』
「……そーかよ。
あ。
でもよ、この数字くらいならわかるぜ‼
レイが13、俺が20……悠のは19になってんな……。
……これは、年齢か……?」
ザックが、履歴書を片手に考え込んでいる。
私には、その様子が、
小さな子供のように見えて……
なんだか、とても微笑ましかった。