The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第15章 Trial ー裁判ー
「……お嬢様。
お疲れでしょう……。
帰ったら、温かいレモンティーでもお入れしましょう。」
『……大丈夫。
ああ、楽しみにしているよ。』
私はセバスチャンに支えられながら、
ゆっくりと立ち上がった。
今までの痛みが、
嘘のように引いている。
私が眠っている間に、レイかセバスチャンが
治療したのだろう。
……楽になった。
私は……もう、動ける。
『……ザックは、平気?
ザックが平気なら、
もう行こうと思うんだけれど……。』
「……おー。
悠が良いなら、俺はいつでも大丈夫だ。」
『……うん、わかった。
っと……。』
1人で歩こうとした私は、
ふらついて、セバスチャンに抱きとめられた。
「……お嬢様、お気をつけください。
まだ、万全ではないのですから……。」
『そんなこと、自分が1番わかってるよ……。
でも、治療するにも……
まずはここから出なくちゃならない……。
そうだろう……?』
「……ええ。
確かに、そうですが……。」
セバスチャンと言い争っていた私を、
不意に訪れた浮遊感が襲った……。