The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
「……なぁ、悠。
死ぬんじゃ、ねぇぞ……。」
『…………もし…。
もし、これで死にそうになったら……。
ザック…。
君の手で、私を殺してくれ。
君の手で……私の人生を終わりにしてほしい……。
罠にかかって殺されたって言うよりも、
その方がだいぶマシだ……。』
自嘲気味に、吐き捨てるようにして言うと、
ザックは私の頬を軽く引っ張った。
『っ!?
な、何して……!?』
「……な…だよ……。」
『……え?』
ザックの声が予想以上に小さく、
思うように聞き取れなかった私は、
思わず聞き返す。
「……俺は、お前に…
死ぬなっつってんだよ。
"Yes."または、"All right."で答えろ。」
『……やだね。
それ、二択になってないし。』
「な、なんだと……!?」
ーガチャ…ー
ザックと2人……
言い合いをしていると、扉が開いて
レイとセバスチャン……
それに、もう1人が姿を現した。
「っ……‼
神父、テメェ……っ‼」
ザックが"神父"と呼んだ、中年の男性に
私は見覚えがあった。
『……グレイ、神父……。
何故、貴方がここにいらっしゃるのですか……?』
「シスター如月。
その答えは、今必要かね?」
『……いいえ。』
私は思わず笑ってしまった。
……相変わらず、
神父は他人を試すような口調で話す。
それが、懐かしい……
穏やかな昔を思い起こさせて、
私は微笑った……。