The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第13章 Guinea pig ーモルモットー
「……お嬢様。
ここで死んでしまわれるのは、"契約違反"です。
……私の美学に反します。」
冷たく言い返してきたセバスチャンに、
私はふっと嘲笑った。
『……だったら、
今この場で、ここで……、私を食べてしまえばいい。
君は、"キミ"らしく……。
私を、喰い散らかせば良い。』
「……お嬢様、ご乱心ですか…。」
窘めるような、
諌めるような……。
まるで子を静かに叱る親のような口調で
セバスチャンは言う。
……いつから君は、
そんなに生ぬるくなってしまったんだろうか……。
自暴自棄気味に吐き捨てられた私の言葉に、
セバスチャンの怒りが、じわじわと地を伝って
私にまとわりついてくる……。
『…………私は、
至って普通だよ。
セバスチャン……、
私はもう動けないから…、
レイとザックを頼んだよ。』
私は脱力して、その場にヘナヘナと座り込んだ。
……もう、指1本でさえも動かせそうにない……。
「お嬢様……!?」
『大丈夫だ。
少し、疲れただけ……。
……少し、眠る。
3人とも……、
くれぐれも…気を、つけ…て……____』
取り落とした拳銃を、
セバスチャンが私の鞄にそっと仕舞う。
私の意識は、
言葉が進んでいくにつれて……
深い深い、闇に落ちていった…………____