The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第13章 Guinea pig ーモルモットー
『…………っ!?』
私はガバッと起き上がろうとした。
「……お、おい。
どうした……?」
『……え。
あ、いや。
何でもな……いっ!?!?』
自分が、ザックの腕の中にいることを思い出した私は、
"何でもない"と言おうとして、
身体を駆け巡った痛みに悶えた。
「……お嬢様。
このままでは死んでしまいます。
……せめて、応急処置でもしませんと……。」
『……んー。
でも……、
そんなこと、ここでは出来ないだろう?
一応、止血はしたし……。』
訊ねてきたセバスチャンに対して、
私は困ったように笑って答える。
そして、そっと……
裂いた布で止血した足を見る。
じんわりと血が滲んでいる。
……正直、
痛くないと言えば嘘になる。
……だが、
この状況下では、どうしようもない。
私はふっと小さく息を吐いた。
「……薬。
私が探してくる。
悠とザック、セバスチャンは
ここで待っていて……。」
『っ……。
だ、ダメだよ、レイ……‼
っ…………。
危なすぎる……。』
レイの小さな言葉に、
私は驚いて叫ぶ……。
だが、痛みが走って、
ザックの腕から降りることまでは叶わなかった……。