The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第12章 Master and servant ー主従ー
「……そんなこと、
あなたに決められる覚えはない。」
レイが静かに怒りを込めて言う。
女性は顔を歪めて言った。
「はぁ?
罪人のなり損ないが、私に反抗する気?
……ねぇ、
そもそも、あなたみたいなつまらない子が____、
どうして、ここに来られたの?」
……その、"どうして、ここに来られたの?"
という問いに、私は違和感を覚えた。
……どうして、
ここに…"来られた"のか……?
「……う…。
うぅ……。」
そんなことを考えていると、
小さな呻き声が聞こえた。
『……ザック!?』
「……あら、生きているじゃないの‼
本当に化け物みたい……。
……素敵‼」
私の声に反応した女性が、
愛しい人にでも駆け寄るかのように、
彼女は駆け寄って行った。
「……ザックを、殺すの……?」
「……ええ。
だって、こんな素敵な罪人を断罪するのは、
私しかありえないでしょう……?」
女性は、さも当然かの如く、サラリと言う。
「……やめて。」
レイが赤い拳銃を、初めて上げて、
女性に向かって拳銃を構えた。
「……あら、レイチェル……。
今頃どうしたの?
撃ってもいいわよ〜?
……でも、残念ね。
実はその拳銃には、弾は入ってないのよぉ‼
あっはははは‼
だけど……、そうね。
私に拳銃を向ける態度が、ちょっと気に入ったわ。」
女性は薄く笑いながらそう言って、
手元で何かを操作する。
「……Bang‼」
女性が冗談めかしたように言うと、
壁から飛び出した拳銃の1つが、火を噴いた……。
その弾丸は、
精密なコントロールで、
器用にレイの小さな手元にある、赤い拳銃を撃ち落とした。
「うふふ……。
さぁ、せっかくだから延命して、
活きがいい状態で罰してあげる。」